資格キャリアガイド

通関士の転職・年収ガイド

その他難易度: ★★★☆☆更新日: 2026年3月26日

年収目安: 380万〜600万円

通関士とは——転職市場での価値

通関士は、輸出入貨物の税関申告・手続きを代行できる国家資格です。関税法に基づく名称独占資格で、通関業者が輸出入業者から委託を受けて行う通関業務を担います。各通関業者(通関業の許可を持つ会社)は、税関ごとに1人以上の通関士を設置する義務があります(通関業法第13条)。

合格率は例年10〜13%。試験は年1回(10月)で、通関業法・関税法・輸出入申告などの専門知識が問われます。法律科目の暗記量が多く、学習時間は600〜900時間が目安とされています。

通関士の活躍フィールドは通関業・フォワーダー(国際輸送仲介)・メーカーや商社の貿易部門の3つ。インターネット通販の越境EC拡大・中国等からの輸入増加・貿易摩擦への対応など、貿易を取り巻く環境が複雑化する中、専門知識を持つ通関士の需要は安定して高い水準を維持しています。

国際輸送はグローバル経済の基盤であり、景気変動はあるものの業界全体の需要は中長期的に安定しています。コロナ後の輸送需要回復・EC物流の拡大も追い風です。

年収データ——通関士はどれくらい稼げるか

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」および職業情報提供サイト(jobtag)によると、通関士の年収は勤務先の業態・規模・経験年数によって以下のような分布があります。

就業形態・ポジション 年収目安 備考
通関業者スタッフ(3年未満) 320万〜380万円 資格手当込み
通関業者(中堅・5〜10年) 380万〜480万円 複雑な案件対応で評価
通関業者(主任・管理職) 480万〜600万円 チームマネジメント
フォワーダー(大手・外資系) 450万〜700万円 英語力で大きく上振れ
メーカー・商社 輸出入担当 450万〜650万円 企業規模による
独立(通関士として起業) 500万〜1,000万円以上 顧客基盤次第

通関士の給与に影響する最大の要因は英語力。英語で通関書類(Invoice、Packing List、B/L、C/O等)を作成・確認できる通関士は、外資系フォワーダーや多国籍メーカーで高い評価を受けます。英語力がある場合、年収は100万〜200万円上乗せになるケースもあります。

また、通関士有資格者には月1万〜3万円の資格手当を支給する会社が多く、取得直後から収入増加につながります。

求人動向——どんな仕事に就けるのか

通関士の求人は、貿易・物流業界を中心に一定数が常時存在します。

通関業者(フォワーダー・乙仲)

貿易の専門代理業者。日本通運・山九・キナリ・JEFSなど、通関業の許可を持つ企業が中心の採用先です。各種申告(輸入申告・輸出申告・税関検査対応)を主業務として担います。通関士資格者を確保する法的義務があるため、有資格者の採用需要は安定しています。

大手フォワーダー(国際輸送仲介)

DHL・FedEx・日本郵船・商船三井ロジスティクスなど、国際輸送の大手企業は通関士を多数採用しています。外資系フォワーダーは英語力があれば年収水準が大幅に上がる傾向があります。

メーカー・商社の貿易部門

電機・自動車・化学・食品など、輸出入が多い業種のメーカーや商社は社内に通関士を置くケースがあります。企業内通関では通関業務に加え、関税最適化・EPA/FTAの活用・輸出管理(安全保障貿易管理)など幅広い業務を担当します。

越境EC・物流プラットフォーム

中国発越境ECや、楽天・Amazonの越境販売対応など、EC事業者向けの通関支援需要が急増しています。小口輸入・簡易申告・個人輸入に特化した新興企業でも通関士の採用が増えています。

転職成功パターン

パターン1: 通関業界未経験 → 通関業者でキャリアスタート

通関士試験合格後、通関業者(乙仲・フォワーダー)に就職するスタンダードなルート。資格を持っていることで未経験でも採用されやすく、OJTで実務を習得します。

ポイント: 通関業者は全国にありますが、特定の品目(食品・危険品・医薬品など)に強い事務所を選ぶと、専門性が高まって転職市場での評価が上がります。

パターン2: 通関業者 → 大手フォワーダー・外資系へ

中小の通関業者で実務を3〜5年積み、大手フォワーダーや外資系物流会社への転職でキャリアアップするルート。英語力を並行して磨いておくことで、年収の大幅アップが狙えます。

パターン3: フォワーダー → メーカー・商社の貿易部門

物流会社のキャリアを活かし、メーカーや商社のインハウス通関士へ転職するパターン。通関知識に加えて関税最適化・EPA活用のスキルが求められ、企業規模が大きいほど年収水準も上がります。

パターン4: 通関士 × EPA/FTA専門家 → 貿易コンサルタント

EPA(経済連携協定)・FTA(自由貿易協定)を活用した関税削減コンサルタントとして、メーカー・商社への顧問業務に特化するルート。日本のFTA締結国は増加しており、特恵関税活用の需要は高まっています。中小メーカーへの副業・フリーランスコンサルとして起業するケースも見られます。

おすすめの転職エージェント

通関士・貿易・物流業界の転職には、業界に強い専門エージェントが有効です。

  • リクルートエージェント: 物流・貿易分野の求人数が多い。フォワーダー・メーカーの貿易部門求人が充実。
  • doda: 物流・貿易の非公開求人に強い。外資系フォワーダーや商社案件を多数保有。
  • JACリクルートメント: ハイクラス・英語系求人に強く、英語力のある通関士の外資系・グローバル企業転職に最適。
  • Izul(旧CUBIC): 物流・サプライチェーン特化の転職エージェント。通関・輸出入担当の求人に詳しい。

関連資格・キャリアパス

通関士と組み合わせることで、キャリアが大きく広がる資格:

関連資格 相乗効果
貿易実務検定(A級・B級) 貿易書類・インコタームズ・信用状の実務知識を体系化。通関士と組み合わせて貿易のプロとしての信頼性が高まる
国際業務検定BATIC 英語での財務・会計知識。英語力を持つ通関士として外資系企業への転職に有利
危険物取扱者(甲種) 化学品・危険物の通関業務に対応できる。航空・海上輸送の危険品申告で重宝
関税士(韓国・中国等) 海外での通関業務対応力を高める。アジア向け輸出入が多い企業で評価される
食品衛生管理者 食品輸入の検疫・衛生管理に対応。食品輸入特化の通関士として差別化できる
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